彼らと一緒に廊下を走っていた。
あの教室の席に座って、彼女たちの目線のやりとりにドキドキしていた。
文化系だった私は、体育会系の彼らに憧れていた。
そうして、ゆっくりと、そして確実に胸がしめつけられていく。
思い出していた。この息苦しい世界が早く過ぎ去ることを願い、
ただただ堪えていた日々が、私にもあったことを。

【桐島、部活やめるってよ】
■2016年3月28日(月)25:15よりBSプレミアムでTV放映start.
この感覚は、ちょっとまれだ。
普段、学園モノを見ると、キラキラしていたあの頃を思い出す所で
終わっているのだが、この映画は103分間、ほとんどあの校舎から
出してくれない。
そうなると、まずは表面上に塗ってあるキラキラした保護シートが
すーっとはがれる。
その中に隠していた、時間を掛けて塗り重ねてきた年輪を
キツツキのごとく、ピンポイントで穴が開く。
中から樹液のようなドロッとしたナニカが、
今目の前に広がっている。そんな感じだ。
身体のどこかが直接痛いということではない。
ただただ、ヒリヒリする。
いっそうのこと、一発殴って欲しい。
ちょっと待った。
このままだと、過去の私に負けてしまう。
冷静に考えるんだ。
もう、あの狭い学校には通う必要はない。
同じ年ばかりが40人も集まる機会もないし、
50分も机にじっとしている言われもない。
あの頃、待ち焦がれた自由が 今ここにあるではないか。
ようやく我にかえる。
8月が後半に入り、2学期の足音が聞こえてきた今。
まさに あの頃を過ごしている学生たちに言いたい。
どれだけ、ドロッとした学校生活だとしても、
キツイだけの放課後が待っていたとしても、
たいがい時間が解決してくれる。
大丈夫。
安心して、今できることを、自分なりに
もがいて頂きたい。
今、悩んでいることは、15年も経てば
何を悩んでいたかも忘れているほど、
どうでも良い問題かもしれない。
というか、私は忘れた。
忘れているから、懐かしめるのだ。
日焼けした右肩のように、この夏いっぱい
ヒリヒリは続いていく。
杏里で言うところの、
I Can't Stop The Loneliness だ。
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